連載中の「思い出の味」で生物学者で作家の福岡伸一さんを取材しました。以前、福岡さんの講演を聞いて「動的平衡」という概念に驚き、とても共感しました。生命体は常に合成と分解をくり返し、絶えずバランスを保ち続ける。だからきのうの自分は今日と違うし、1年経つと見ためは同じでも、細胞単位ではまったくの別人という考え方です。「動的平衡」を知って、ぼくの生命に対する価値観は変わりました。
時間を忘れて博士とのお話を楽しみました。ものすごい頭脳の持ち主にもかかわらず、ぼくのイラストや当日来ていたシャツのブランドにも興味津々で、小学生のように目を輝かせて「いいですね!」、「どちらのシャツですか?」と、すべてに好奇心旺盛でした。小学生の時は松戸に住んでいた福岡さん。「ご縁がありますねぇ」とニコニコ。
取材前に読んだのはこの2冊。『生物と無生物のあいだ』は細胞や遺伝子の専門用語が多く、一見難しいかなと思って読み始めたら、現実の出来事が映画のようにハラハラドキドキの連続、博士の文章があまりにも上手すぎて、グイグイ引き込まれました(蒼井優さんはおもしろすぎて6回も読んだそう!)。 『音楽と生命』は教授と博士の知的好奇心に導かれた神のような対話が楽しめます。博士自身が影響を受けたという児童文学『ドリトル先生航海記』の翻訳もされていて、そちらも本当に素晴らしいです。
お会いしてさらに大ファンになり、博士の著書をもっともっと読んでみたくなりました。誌面で紹介している『理想のレシピ』も超おススメですー!! 今回の記事はかなり熱い気持ちで書きましたので、ぜひ読んでみてください。福岡さんのインタビューはただいま発売中の『栄養と料理』7月号に掲載されています。
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